フランス現代詩研究会 2020 年 8 月例会
- 日時:2020 年 8 月 7 日(日本時間 20:00-23:00/フランス時間 13:00-16:00)
- 場所:日本/フランス(オンライン)
【ワークショップ(読書会)】
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発表者:伊藤琢麻
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対象詩:Philippe Soupault, Chansons, Eynard, 1949.
- Mais vrai
- C’est vrai
- Brouillard et Cie
- Grammaire
フィリップ・スーポー『シャンソン』について
スーポーについて
- 1897 年 8 月 2 日、シャヴィルで生まれる。1990 年 3 月 12 日、パリで没。
- アラゴン、ブルトンとともに「三銃士」と呼ばれる。『アクアリウム』(1917)、ブルトンとの共作『磁場』(1919)。1926 年、共産党とグループの接近をスーポーが嫌った結果、シュルレアリスムから除名。
- 30 年代以降、ジャーナリズム活動の一環として米国、ソ連、ドイツ等を訪問。第二次大戦中はレジスタンス活動も。
- 戦中から戦後(40〜60 年代)にかけては、ラジオに関する仕事も多い。57 年 8 月から 58 年 10 月まで、童歌 comptine について放送。フランスだけでなく、カナダ、スイス、ベルギーの人々ともコンタクトを取りつつ各地の詩の収集につとめる。77 年までラジオの仕事を続ける。
- 晩年は『忘却の回想録』 Mémoires de l’Oubli の執筆に務める。
- スーポーは幅広い交流で知られている。アポリネール、ルヴェルディ、サンドラール等の詩人たち、アラゴン、ブルトンらシュルレアリストの他、カレル・タイゲ(プラハ)やエドモン・ジャベス(カイロ)といった外国の詩人とも交流があった。
『シャンソン』について
- 『シャンソン』は、Eynard 社(Rolle)より、1949 年 11 月に出版。アンドレ・マッソンによる著者デッサン付き。中後期の作品にあたる。
- 『シャンソン』は、何度か再版されている;『詩篇と詩』Poèmes et Poésies, Grasset, 1973 ; 『友だち、子供たちのための詩』Poésies pour mes amis les enfants, Lachenal & Ritter, 1983 ; 『ジョージア、エピタフ、シャンソン』Georgia Épitaphes Chansons, Gallimard 1984.
- 『シャンソン』は 5 つのパート(+ 前書き) に分けられる。
- 『初期詩篇』Premières Chansons
- 『ノスリと森の歌』Chansons des Buses et des Rois 1
- 『秘密の武器』L’Arme secrète
- 『昼と夜の歌』Chansons du Jour et de la Nuit
- 『体験された歌』Chansons vécues
- 1 と 2 は『ジョージア』Georgia (1926) 『シャンソン』Chansons (1937, 全集に収録) に収められた詩篇の再編。3 と 4 はそれぞれ 1946 年、1949 年の詩集の完全再版。
- 今回読む « Mais vrai », « C’est vrai », « Brouillard et Cie », « Grammaire » は『秘密の武器』からの再録。
- 同時代的な作品として、デスノス『おはなしうた』 Desnos, Chantefables (1944)、プレヴェール『言葉たち』, Prévert, Paroles (1946) 3 などがある。
話し合いたい点
- 「シャンソン(歌)」と詩の関係。
- 詩的叙情性 le lyrisme poétique に対立する「シャンソン」という選択について(cf. Marie-Paule Berranger, Fêtes de l’impatience . Les chansons de Philippe Soupault », 1993 ; MyriaM Mallart, « Les chansons de Philippe Soupault: forme poétique ou mode d’écriture ? », 2009)
- 叙情性と文学、叙情性と技巧、叙情性と子どもの関係性について
- un “nouveau lyrisme” (la nécessité d’une référence au monde et à la subjectivité dans le texte) et “antilyrisme” (retour à la littérature (pure), refus de l’usage figural et du rythme)(Rodriguez, p.7.)