【ワークショップ(読書会)】
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発表者:佐藤園子
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対象詩:Orogénie より
① « Promenade sur le toit »
② « L’homme de Truxillo »
報告
エクアドルの詩人アルフレド・ガンゴテナを取り上げた読書会が行われました。発表担当者は、佐藤園子さんです。ガンゴテナはエクアドルの首都キトの名門貴族の家に生まれた後、1920 年、16 歳でパリに渡り、フランス語で詩を書いた人物です。パリでは国立高等鉱業学校で鉱物学を学び、詩の中にも鉱物学や幾何学用語が度々表れているようです。また、幼少期から血友病を患ったことからも、詩にはたびたび血管や液体の流れのイメージが作品に深く刻み込まれているようにも思われました。
前半では、1923 年の初期作品「屋根の上の散歩」を読みました。屋根の上を進む夢遊病者の足取りが、幻想的な情景を伴いながら、詩人のメタファーとして描かれています。議論の中では、心臓の鼓動やため息の弁といった身体の動きと、煙突の風量調節バルブや潜望鏡といった機械的・建築的なイメージとが周到に重ね合わされている構造が浮かび上がりました。
後半では、1928 年刊行の第一詩集『オロジェニー(造山運動)』に収められた長編詩「トルヒーヨの男」を扱いました。1924 年の初版では、コンキスタドールのフランシスコ・ピサロが明確な一人称として据えられていましたが、改稿を重ねるうちに説明的な要素が削ぎ落とされ、声はより内面的なものへと変わっていったようです。大陸の隆起や地質学的時間の途方もないスケールと、生々しい身体の感覚とが一篇の詩の中で共存する、印象深い作品でした。
(報告者:森田俊吾)