Atelier/Poétique

フランス現代詩研究会

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アンドレ・ヴェルテールを読む

【ワークショップ(読書会)】

報告

フランスの詩人アンドレ・ヴェルテール(André Velter, 1945 年アルデンヌ生まれ)を取り上げた読書会が行われました。発表担当者は森田俊吾です。

ヴェルテールは 1966 年にセルジュ・ソートロー(Serge Sautreau)と共に第一詩集『アイシャ(Aïsha)』を発表。以来、オリエント各地への旅や滞在体験を詩に結晶させ続けてきた詩人で、詩集『ガンジス川からザンジバルまで(Du Gange à Zanzibar)』はルイーズ・ラベ賞を受賞している。詩のアンソロジーの編者としても知られており、以前の読書会で扱ったゼノ・ビャニュ(Zéno Bianu)とも親交が深い。

今回の読書会では、そのアンソロジーから取り上げた一篇「別人(L’autre)」を精読した。全 14 行を全部四音節という厳格な形式で、かつ詩節を 4/4/3/3 に配置した変形ソネット的な構造を持つことが確認され、形式面と内容面の両方から活発な議論が行われた。

(報告書:森田俊吾)


読解と議論のポイント

1. 形式

  • 全篇四音節:全 14 行が四音節で統一されている
  • 変形ソネット構造:詩節は 4/4/3/3 で配置されており、行数でいえばソネットの形式に対応する。ただし押韻は一定でない
  • 韻の対応(おおよその整理):
    • celui (1) / guéri (3) / ici (9)
    • moi (2) / cela (5) / toi (13)
    • lumière (4) / fée (6)
    • réel (7) / cruel (11)
    • soleil (8) / soleil (14)
    • départ (10) / aube (12)

2. 「Tu es」のリフレインと「君」の変遷

  • 3 連続の Tu es … の後、最終詩節で Tu es sans toi(君は君を持っていない)という反転が起きる
  • 「君」が指すもの:「人間」→「モノ」→「場所」→「不在」へと変化(崔さんの読み)
  • Tu es celui, et tu es moi, qui s'est guéri par la lumière と読むと、「君」と「僕」が融合した存在として理解できる可能性も

3. 語彙・イメージ

  • 光(lumière /soleil)と不在(absent /sans toi)の対比が全体を貫く
  • d'or et de féelumière などの語彙はユゴー的とも言える
  • Autre départ(別の出発)と le jeu cruel(残酷な遊び)の関係
  • cruel=ellejeu=je という音の遊びも
  • [ty] の音(Tu /lumière /cruel/autre)が詩全体を通じて響く

Citation :
森田俊吾「アンドレ・ヴェルテールを読む」、『フランス現代詩読書会』、フランス現代詩研究会、第55号、2023-05-26、URL:https://poetique.github.io/2023-05-26-velter/